潰瘍性大腸炎の治療法について
潰瘍性大腸炎(UC)の治療薬として、2年前に承認 / 発売されたレクタブルという薬が発売されました。
Oncologyの試験にアサインされることが多く、それ以外の疾病についてはお座成りになりがちなのですが、
ちょうど先日、この薬剤に関して学ぶ機会がありましたので、深堀した内容と併せて書き残しておこうと思います。
UCは、病気が起きる仕組みがまだ解明されておらず、根本的治療がないため、難病指定されている疾患です。
UCとCDはとても似ているようで、臨床学的には別物となっているようです。
ここのサイトがすごくわかりやすいので、ご参考までに。
日比紀文ほか編:IBDを日常診療で診る, p24, 羊土社, 2017より改編
UCの治療には、大きく以下5つの選択肢があり、重症度に比例して大体は1から順に検討していくアルゴリズムのようです。
基本的には経口薬物療法での治療がされていますが、局所治療としてステロイド坐剤、注腸が用いられることがあります。
この内、注腸製剤というのは以前から幾つかあるのですが、問題点がありました。
それは液状の製剤のため、使用中~使用後は横になっていないといけない、液垂れが生じて下着を汚すことがある、というQOLの低下に繋がる問題でした。
そんな中で新たに出たのがこのレクタブルという薬です。同じ注腸製剤ですが、フォーム状になって患部へ行き届くという画期的な製剤となっています!
フォーム状になることで、横にならずに済む、液垂れの心配もへり、排便の不本意な誘発も低下するようになったそうです。
有効成分であるブテソニドは以前からあるステロイドで、呼吸器疾患の薬にも使われているものですが、今回UCに満を持して登場したようです。
こうした製剤の違いだけでも開発をする意義というのは今でも色々な疾患であるのだと感じた次第です。
これだけだと感想文になってしまうので、本題ですが・・・
このレクタブル、日本の開発にいたる際「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」において、
「ブデソニドの早期承認を求めるIBD患者会(全国のIBD患者会27団体)」から本剤に対する早期開発要望が出されていたものなんです。
こうした制度があることも知らなかったのですが、患者団体が声を届けられる場所があるというのはいいですね。
以前発信したPatient centricityに似ているところもあるなと思って共有いたしました。
この制度のスキームとしてはこちらに纏まっています。
開発といっても、今や企業志向ではなく、学会、患者団体といろいろな視点で作られているものだと、色々と感じた次第です。
これからも、いい薬が適切に市場に出回りますように。