外用薬の塗り方:尋常性ざ瘡(ニキビ)

ニキビの発症には、主に4つの原因がある。

①皮脂分泌の亢進や②毛穴の角化異常、③毛穴内のアクネ菌の増殖と④それに伴う炎症などが関与する。

初期段階では、微小面ぽうと呼ばれる状態が生じて、この後、面皰の内側でアクネ菌が増殖し炎症を起こすことで、炎症性皮疹(赤ニキビや黄色ニキビなど)が生じる。(参照:下図)

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出典:マルホ製薬株式会社 HPより

https://www.maruho.co.jp/medical/pdf/academic/shidousen/nikibi_letsknowit.pdf

 

これらニキビの治療のうち、今回は代表的な2剤を取り上げてみる。

 

  1. 過酸化ベンゾイル(ベピオ)

→抗炎症効果を期待して処方されることが多い

 

     2.  アダパレン(ディフィリン)

→毛穴の詰まりを解消する目的で処方されることが多い

 

【高発現する副作用】

このうち、ベピオは強力な酸化剤で、抗菌作用と確執剥離作用(ピーリング)が特徴的です。

また、ベピオとディフィリンの2つに共通する副作用として、乾燥、刺激感、剥離、紅斑がある。ベピオは臨床試験で、78.9%(使用開始から2週間以内)、ディフィリンは43.7%(使用開始から4週間以内)の割合で生じた。

発売当初は、目に見えない面皰等も治療範囲として、顔全体に(疾患部周辺を含む)塗るように指導を行っていたが、副作用の発現を考慮し、現在は疾患部にピンポイントで塗るよう指導することとなっている。また、初めての処方時は、そうした副作用が生じることをあらかじめ患者に伝えることが重要です。

 

【抗菌薬との併用】

また、抗菌薬が併用して処方されるケースもあるが、そうした場合は先にベピオやディフィリンを塗布し、その上に抗菌薬を塗布することとなる。

こうすることで、抗菌薬の不要領域への広がりを避けられ、また抗菌薬が浸透しやすくなる。

 

【保湿剤の使用(推奨)】

これら2剤のように、副作用のあるニキビの薬を塗布するときは、保湿剤の使用が塗布前に推奨されている。特に、毛穴が詰まりにくいとされている「ノンコメドジェニック」と呼ばれるものが良いが、一般の保湿剤でも塗布する方がよいと思います。

 

【重大な副作用】

こうした皮膚剥離を主なう薬剤の場合、副作用による刺激性接触皮膚炎と同様の症状に薬剤性皮膚炎という副作用に気を付ける必要がある。症状は、似たような臨床所見を呈するが、薬剤性皮膚炎は、赤みの程度が強く、患部が膨れ、強い痒みや刺激感を伴うことが多い。こうした所見を薬剤の副作用として見過ごすことのないよう、皮膚に異常を感じた場合は、都度、医師や薬剤師に相談をすることをお勧めします。